“100年歩ける体”への歩行トレーニング
「walkey(ウォーキー)」の誕生秘話。
自由が丘の小さなウォーキングサロンが、グッドデザイン賞を受賞!?
東京・自由が丘。
簡素な住宅街に囲まれた、落ち着いた大人のショッピングの街。
この街の中心エリアに、歩行専用トレーニングを提供する「walkey(ウォーキー)」のラボがある。
緑と白、木目を生かした店舗は、ぱっと見、小さなサロン。
自由が丘の小さなウォーキングサロンwalkeyが提供するのは、「人生100年時代において、いつまでも自分の思うように歩ける体を目指す、歩行専用トレーニングサービス」だ。
ラボ(店舗)では、歩行に関する知見を持ったトレーナーが、体を隅々までチェック。
自宅では、その人の状態に合ったプログラムを、専用機器とアプリを使ってトレーニング。
トレーニングの成果を、定期的にラボで確認することで、誰でも続けやすい、効果的な体作りをサポートする。
しかも、この小さなウォーキングサロンが、2022年のグッドデザイン賞を獲得したという。
驚くべきことに、デバイスは、自ら開発し、医療機器メーカーが製造を担っている。
トレーニングのためのアプリも、もちろん自分たちで企画開発を行っている。
さらに、日本でも有数のスポーツトレーナーが、トレーニングプログラムを作ったという。
何やら凄い、walkey。
walkeyの誕生に至る秘話と、グッドデザイン賞受賞の喜びの声を、カギとなる人物4人に語って貰らうことにしよう!
(株)walkey代表取締役社長 渡辺達哉(わたなべ たつや)
【人に寄り添った社会課題の解決を目指す! 社長・渡辺達哉の想い】
walkeyは、自宅および、「ラボ」と言われる店舗での、両軸で成り立つサービスです。
自宅トレだけでもなく、店舗でのチェックだけでもなく、両者をセットで提供しています。
自由が丘の小さなサロン的な店舗ですが、他にはないサービスが特徴です。
多くのジムでは、ジムでトレーニングして、その結果を体重計など自宅でチェックするやり方が主流ですよね?
でもwalkeyでは、これを“反転”して実践してもらっています。
つまり、自宅でトレーニングして、ラボでチェックする、というやり方です。
まだ、きちっと言葉にしきれていないのですが、「アクティブラーニング」という考え方を、トレーニングジムに応用したものです。
walkeyは、「人生100年時代、100年ずっと歩き続けられる体を届ける」ことをミッションに掲げています。
健康寿命を延伸する文脈で語ることも多いのですが、「歩く」という人間にとって基本的なところに着目しています。
“よりよい人生を歩む”とき、つまり、誰かと会ったり、美味しいものを食べたり、新しいものに出会ったりするときには、移動できる力は、とても重要です。
なので、「歩行」に着目することで、人生100年時代をより良く過ごせると考えました。
まさに“人生を歩む”という言葉は、そうしたことを背景に持っているのではないでしょうか。
100年の“人生を歩む”ための事業
会社として事業化するきっかけは、新型コロナ禍です。
世界規模の、ある意味での災害のようものが訪れたときに、皆さん、外出自粛、家に籠る生活が始まりました。
あの当時を思い出していただくと、「このまま家に籠っていて、本当に大丈夫なのかな?歩くくらいしないとマズい」って、誰もが感じたはずです。
新型コロナ禍が始まる前から、健康寿命の話や、人生100年というテーマはありましたが、それに関連して「歩く」ことの重要性を、コロナ禍によって改めて肌で感じました。
そうした課題を共有するメンバーが集まったことが、walkeyのスタートです。
最初は、「歩くって、何?」的なところから、医療機関や、大学などの研究機関の先生方にお話を聞いたり、リサーチをしていきました。
歩くために必要な筋力、必要なトレーニング、どんなユーザーがトレーニングを求めているのかなど、喧々諤々の議論のスタートでした。
サポートを必要と感じている方々の悩みとともに、我々がサービスとしてできることを考え、それが今のトレーニングサービスの原型となっています。
さらに、実際にモニターを集めて使っていただくことで、効果だけでなく、その重要性や必要性を、我々自身も深く実感していきます。
そして、「これであれば、サービスとして実装していける」というタイミングで会社(株式会社walkey)にして、サービスの提供をし始めました。
私自身、ヘルスケアの領域には昔から興味があり、事業開発にも携わっていました。
大学の専攻も、体の健康などに関わることをしており、新型コロナ禍を経て、自分にとって大切なひとに手を差し伸べられたらと、この事業への気持ちが日増しに強くなりました。
郊外で暮らす母のためにも
私の出身は、北関東の郊外の街です。
郊外の暮らしは、ご存じのように車社会です。
周囲には畑もたくさんあって、歩こうと思えばいつでも歩ける環境があります。
でも、それが難しいのも、郊外という環境の特徴なのです。
郊外では、周囲の方と違ったことをするのが、とかく目立つんですね。
私の母の話で恐縮ですが、彼女の体力が少し下がってきたときに、「ちょっと歩いたら」とか、「少し体を動かした方がいいよ」と、何度も話をしました。
その際、母は必ず私に話します。
「そんな恥ずかしいこと、世間体があるから、できないわよ」って……。
車社会の郊外で、誰もが車に乗って走る道を、1人ポツンと歩いていると、いろいろ噂されると母は話しています。
新型コロナ禍になって、真っ先に考えたのも、母のことでした。
「少しは、体を動かせているかな……」
walkeyがあれば、そんな母の運動を手助けできる、解決できる可能性があるっていう想いは、今この事業を進めている根本の部分にあります。
そんな想いも募って、朝日インテック、quantum(クオンタム)の合弁会社の代表としてwalkeyを創業するに至りました。
頑張ってきた軌跡は、“人生を歩む”道しるべ
walkeyが提供するサービスは、主に2つです。
ひとつは、店舗での姿勢や筋力のチェック。
もうひとつは、それに応じた自宅でのデバイスを用いたトレーニングプログラムです。
日常のトレーニングプログラムは、アプリケーションで提供されます。
店舗での姿勢や筋力などのチェックは、トレーナーが測定器を使って行います。
この時のトレーナーのチェックは、その後でアプリにより提供されるトレーニングプログラムにも反映されます(現在、最終調整中)。
walkeyの利点は、続ければ続けるほど、その人の体力や筋力に応じたトレーニングが、どんどんパーソナライズされる点です。
体の計測をしっかり行い、その方に合ったプログラムを提供する。
このサイクルを回していくことで、体の特性などのデータが蓄積され、改善されてゆく様子=頑張ってきた軌跡が残ります。
こうした軌跡(データ)こそ、自信を持って“人生を歩む”ための道しるべだと、我々は考えています。
誰もがいつか、「歩行」という課題に直面する
我々がターゲットとして考えているのは、人生100年時代の中で、ちょうど中間地点にいらっしゃるミドルの方々です。
セカンドライフという言葉通り、仕事や子育てを頑張ってこられた後、その次の人生を考えている方々です。
脚の筋肉は、40を過ぎると急速に低下すると言われています。
筋力低下をできる限り早いタイミングから食い止め、改善あるいは維持していく。
そしてwalkeyを通じて手に入れた「強い脚」で、次の50年の人生を歩んでいただきたいという思いがあります。
自由が丘は、歩行に関心がある方が多いエリアだと感じていました。
自由が丘を起点に、目黒や二子玉川にかけては、坂道も多く、ウォーキングスポットもたくさんあります。
健康に対する意識を高く持たれている方が多く住まわれていて、walkeyの価値をいちばん最初に感じていただけると期待しています。
マイルストーンは、walkey自体の重要性、価値をしっかり確かめていくことです。
数年以内に2000人ほどのお客さまにwalkeyをご利用いただくことを目指しています。
その次のステップでは、walkeyが解決するお客さまの課題の領域を増やし、サービスの質を高めることを考えています。
いたずらに数や規模を広げるのではなく、介護やリハビリの領域も含め、我々のサービスで改善できるような質の向上を目指しています。
グッドデザイン賞で評価いただいたのは、「どなたでも続けやすい、丁寧なサービスデザインがなされてる」という点でした。
「歩行」という、誰もがいつかは直面する課題に対して、さまざまな方が使っていだけるサービスを作ってきたことが、しっかり評価されたことが、いちばん嬉しいと感じています。
アスリートのみならず、企業からの健康指導関連のプログラム作りなども数多く手掛ける、
日本のスポーツトレーナーの草分け的存在のひとり、齋藤邦秀(さいとう くにひで)。
【トレーナーが感じていた「本当に必要なサービス」とは? 齋藤邦秀の想い】
walkeyのプロジェクトに関わらせていただいたのは、2020年の秋から冬の頃でした。
トレーナーとして、歩行に関するバイオメカニクス(生体力学)を学んだり、クライアントの動作改善にも繋げていたので、喜んでお引き受けしました。
難しかったのは、運動指導は、その方の体の状況に合わせたプログラムであるという点です。
可動域ひとつをとっても、それは言えます。
クライアントさん個々人の現状の可動域、使える部分と使えない部分、筋肉などの張りなどを分析し、それをもとにプログラムが決まります。
こうしたプロセスを経て、その人に合ったプログラムを提供することが基本になるのです。
walkeyのプロジェクトは、まず、こうしたプロセスを「標準化」、つまり経験の浅いトレーナーでも対応できるものとして設計することから始めました。
トレーニングデバイスも、プロトタイプでしたので、さらに使いやすいものにすべく考えました。
「ラクにできるけれど、誰でも安全に扱える」って、女性や怪我をされている方、高齢の方が使う可能性もあるので、丁寧に考える必要がありました。
難易度はとても高かったですが、これまで僕が培ってきたことを上手く形にすれば、できなくはないというワクワク感はありましたね。
とは言っても、全然、何だかわからない状態から始まったのですが……(苦笑)。
walkeyの特徴は、“反転学習”=セルフコンディショニング!
walkeyの「歩行力」チェックは、全身で70箇所ほど行います。
チェックする部位の割り出しと、その評価軸の線引きには、手間がかかりました。
体の調整って、10年とか20年とか経験を積んだトレーナーであれば、ある種の手順やパターンをプログラムとしても共有できます。
walkeyでは、そこまで経験がないトレーナーさんでも、きちんとした運動指導できるよう、フローチャート的なものを作る必要もありました。
walkeyでは、多くのジムのようにトレーナーさんが指導して終わるのではなく、お客さまがご自宅でデバイスを使ってトレーニングをされる仕組みです。
こうしたやり方を「反転学習」と呼ぶのですが、walkeyの特徴のひとつです。
walkeyのラボ(店舗)では、体のチェックを行って、「あなたの体は今、状態こういう状態だから、これをやりましょう!」って宿題を出します。
その宿題を、デバイスを使って自宅で行うことで、次のラボでのチェック時に、ご自身の進歩を感じてもらいます。お客さまにとって、宿題をこなすイメージです(笑)。
ラボでのチェックのたびに進歩を確かめ、さらに新たな宿題が出されます。
こうした自発的な取り組みを「反転学習」(アクティブラーニング)と呼ぶのですが、トレーニングだけでなく、楽器の演奏や、料理や語学を学ぶのにも、反転学習は効果的です。
つまり、walkeyは、体のためのアクティブラーニング=セルフコンディショニングなのです。
1週間は、168時間。2週間だと、その倍の336時間、
大切なのはラボにいる1、2時間ではなく、残りの330時間です。
自分で取り組む学習を通じて、歩行力の改善を身につけることが大切なのです。
そこをやり込むのが反転学習、アクティブラーニングです。
いわば、“コソ練”ってやつです(笑)。
100年歩ける、美しい生き方を応援したい!
人生100年時代。
100年歩けて、自分の人生を全うするのは、いちばん美しい生き方だと思います。
でも、なかなか今はそこまで行けません……。
多くの方が、残りの人生、男性だと約10年、女性で約12年、自分で歩けない状態で生涯を閉じます。
そこを何とか、少しでも長く歩けて、人生を楽しんでいただける人たちを増やしていきたい。
トレーナーとして、そうしたお手伝いができたら、いちばん嬉しいですよね。
グッドデザイン賞をいただくのは、もちろん初めてです!
トータルなサービスとして評価されたのが嬉しいですね。
デバイスのデザインもピカイチですが、プログラムとの連携を含め、様々なソリューションとして、全てを評価していただいたと思っています。
(株)クオンタム 常務執行役員デザインチーフ、門田慎太郎(もんでん しんたろう)
【新たなモノづくりへの、クオンタム門田慎太郎の想い】
私たちquantum(クオンタム)は、一般企業やベンチャーが新規事業を作る際のサポートを行ったり、自社自身で新規事業を立ち上げることを生業にしています。
今回、グッドデザイン賞を受賞した「walkey」は、朝日インテックさんと私たちクオンタムが共同で作った新規事業になります。
クオンタムの社内には、新規事業を内製で作るために必要なメンバーが揃っています。
デザインナーやエンジニア、ビジネスの根幹を考えるベンチャーアーキテクトと呼ぶ戦略担当者、成長させた事業をグロースさせる専門チームまで、多種多様な才能の集合体です
サービスそのものをデザインする
walkeyのプロジェクトも、こうした人材を有機的にチーム化して、新規事業として立ち上がりました。
私の役割は、walkey全体のデザイン統括です。
walkeyは、ハードウェア、アプリケーション、サービスとしての見せ方、店舗となるラボのインテリアを含めて、トータルでのサービスです。
そのため開発当初から、ブランディング的な観点からのデザインが求められていました。
一般的にデザインって、平面や3Dなどの見た目を整えるとか、色をキレイにとかを想像される方が多いと思います。
でも、今回のwalkeyでのデザインの役割は、事業を作るもっと上流の段階での、サービスそのもののデザインです。多くの人が使いやすいハードウェアやアプリがあれば、毎日の運動も、難しくなく、簡単に取り組めます。そうした行動変容も含めてデザインとして捉え、チーム一丸となって取り組みました。
なので、1年半から2年ほどかけ、やっとサービスのローンチまでこぎつけた感じです。
社内でも大型の案件でしたので、10人ほど関わりました。
いちばん難しかった点は、ウォーキング専用のトレーニングサービスを、必要を感じておられる方々に、いかに分かりやすくお伝えするか、という部分です。
歩くことは、人間のベーシックな運動能力です。
その能力を鍛えると言っても、ガチガチに筋トレをするとか、美しい体を手に入れるエクササイズと同じことにはなりません。
私たちのターゲットにとっては、一般的なジムさえも、ハードなトレーニングをするところというイメージが付きまとっています。
なので、そうしたイメージを打ち出してしまうと、ハードルが高く見えてしまうのです。
「入会しちゃうと、ビシバシしごかれちゃう」みたいな不安を、いかに払拭させるかが、大きなチャレンジでした。
ブランディングも含め、デザインの重要なトーン&マナーは、ユーザーに寄り添う姿勢です。
新たに開発したwalkeyのトレーニング機器も、全体的に角がないようにしています。
誤って体にぶつけても怪我をしにくいですとか、ハンドルが丸く素材も握りやすいモノを使っているなどの工夫です。
人生100年時代だが、健康寿命は追いついていない!
アプリケーションでは、些細なことかもしれませんが、文字の大きさです。
シニアの方も対象になるので、文字のサイズ大きく、色やコントラストをしっかり付けて視認性を上げるチューニングも行っています。
店舗としてのラボも、一般的なジムが使う“元気なビタミンカラー”や、激しい音楽をガンガン鳴らすイメージではなく、ブランドのトーンカラーのグリーンを基調に、木の表情である木目を加えることで、日常生活の延長線上に感じてもらい、気軽にお足を運んでもらえるようなデザインとしての配慮をしています。
walkeyの掲げるスローガンは、「100年歩ける私」。
実は、これも弊社のクリエイティブ担当を中心に考えた言葉ですが、私たちクオンタムがwalkeyをサポートする理由も、この言葉に集約されています。
人生100年時代を迎えてはいますが、健康寿命はまだ追いついていません。
最後は、寝たきりになったり、思うような生活が送れない、けれども寿命は延びてしまう……。そういった社会課題に対して、最後まで自分の脚腰で生活できるサポートを、サービスとして事業化できたらと考え、事業開発をしてきました。
GoodDesignはもちろんreddot、iFなど国際的なデザインアワードでも高い評価を獲得した車椅子「Wheeliy」
グッドデザイン賞は、以前、車椅子を作った際にいただいたことがあります。
しかし、今回のwalkeyのように、アプリとハードウェア、サービスと空間がうまく連動しながら、サービス設計まで含めてデザインとして評価されたことは、今まで経験がないことでした。けっこう画期的だと思いましたし、とても嬉しく感じています。
朝日インテック(株)東京R&Dセンター第3開発G 第1開発T 渡邉茂樹(わたなべ しげき)
【新たなモノづくりへの、朝日インテック渡邉茂樹の想い】
今回のwalkeyのデバイス開発は、朝日インテックが担当しました。
朝日インテックは、産業用のステンレスワイヤーロープの製造から始まった会社です。
現在では、医療現場で使われる医療機器が主力事業となっています。
一般的な認知度は高くないのですが、血管の内視鏡治療などにも使用されるカテーテルなどが主力製品となっています。
長年研究開発を続けてきた腰アシストスーツ『Way-sist』。walkeyは、Way-sistの技術の逆転の発想で誕生した。
walkeyの機械設計は、私が主担当として務めました。
私たちの部署は、朝日インテック社内でも、当社のコア技術であるワイヤーロープを活用した医療分野、また産業機器業界向けの機構ユニットを中心とした設計開発を行っています。
クルマのスライド式ドアのワイヤー機構、家庭のドアのロックやハンドルによる窓の開閉の機構など、ひとつの部品ではなく、複数の部品のユニットで構成される製品開発が得意分野です。
今回のトレーニングデバイスwalkeyの開発も、実は、私たちが以前から培ってきた、新製品開発の知見が活かされています。
まず私たちは、「100歳まで歩ける体を作る」製品開発には、2つの方向があると考えました。
ひとつは、衰えつつある脚の動きをアシストする、サポート装置です。
もうひとつは、今ある脚の機能を維持向上するための、トレーニング機器です。
“100歳まで元気で歩ける”という目的は同じですが、結果的に、早めのトレーニングで健康な体を維持する、つまり後者という方向に決まりました。
その際にデバイスに求められるのは、筋力の維持向上をするための、体への無理のない、しかし適度な負荷です。
私たちチームが思い至ったのが、それまで培ってきた「腰アシストスーツ」の機構の転用でした。
「腰アシストスーツ」は、カラダへの負荷を軽くして重い荷物を持ち上げるなど、まさに動きをアシストするデバイスです。
しかも腰アシストスーツは、動力源として、電気を一切使いません。
ゼンマイとロープを使って、負荷をアシスト力に変えて、動きをサポートしています。
walkeyは、「腰アシストスーツ」の逆転の発想で生まれた!
このノウハウを逆転し、アシスト力を負荷に換えれば、効率よく安全にトレーニングできるのではないか?
私自身、腰アシストスーツの開発を手掛けていたこともあったので、すぐにピンと来るものがありました。
そこで、チームにある種の“変換”が起きました。
慣れたノウハウを使えることもあり、開発が一気に加速したのです。
デザインに合わせて、実際に形にする作業は、私たち開発設計が頑張るべき部分です。
私たちにとって最大の挑戦は、walkeyデバイスが一般のお客様(カスタマー)が直接使用する製品であるという点です。
今まで私たちが行ってきた、B to Bビジネスとして顧客企業からの仕様に基づいた機構ユニットではなく、一般のお客さま(カスタマー)の自宅のリビングなどに置かれる完成品としてのデバイスであるため、デザインにも力を入れ、デザインチームとの議論を重ねながら、実現に向けて取り組みました。
最終的には、大きさですね。
さまざまなトレーニングに対応させたいのですが、walkeyの心臓となるユニットは、できるだけ軽く小さくしたい……。
だからこそ、非常に苦労しました。
ここでも、以前からのゼンマイバネの研究開発の知見が活かされました。
ゼンマイバネの特徴は、相当に伸ばしても、ほぼ均一の力で戻ります。
これは、スプリングにはない特徴です。
人間の体の動きに対して、無理なく対応できるのがゼンマイバネなのです。
その意味でも、腰アシストスーツの技術を十分に活かすことができました。
今回のグッドデザイン賞の受賞は、素直にとても嬉しいですね。
「どうしたもんかなぁ」って、みんなで頭を悩ませながら、ゼロからスタートしたものが形になって、賞までいただくことは非常に嬉しいことです。
【株式会社 walkey(ウォーキー)】
「100年歩ける人生を届ける」を企業理念に、歩行という人間の体の動きの基本を作る歩行専用トレーニングサービスを開発。一人一人の体を土台から整え、いつまでも人生を楽しめる体づくりを目指したサービスを提供している。
会社名:株式会社walkey
所在地:東京都目黒区自由が丘1-14-14原田ビル2階
代表者:代表取締役社長 渡辺達哉
URL:https://isolation-lite.com/
お問合せ先:info@isolation-lite.com
【グッドデザイン賞】
1957年に創設の「グッドデザイン商品選定制度」を継承する、日本を代表するデザインの評価と推奨の仕組み。国内外の多くの企業や団体が参加する世界的なデザイン賞として、暮らしの質の向上を図るとともに、社会の課題やテーマの解決にデザインを活かすことを目的に、毎年実施されている。受賞のシンボルである「Gマーク」は優れたデザインの象徴として広く親しまれている。http://www.g-mark.org/